偽物の優勝決定戦であるチャンピオンシップから、日本シリーズを超える感動を得るのは難しいのではないだろうか


楽天胴上げ

劇的であり、エンターテイメント性抜群の日本シリーズが終わった。

読売ジャイアンツと東北楽天ゴールデンイーグルスの戦いは、まさに日本一を決める戦いにふさわしい名勝負であったが、サッカーファンとしては「チャンピオンシップ」がここまで盛り上がるのだろうか?心配に思うと同時に、改めてCSとポストシーズンのあり方について考えさせられることとなった。

 

日本シリーズは正真正銘の日本一決定戦。

 

野球は2リーグ制を導入している。

パシフィックリーグとセントラルリーグに分かれ、それぞれ年間を通してのリーグ戦を行いチャンピオンを決める。

近年はクライマックスシリーズの導入により、やや日本シリーズ出場チームの格が下がった感はあるかもしれないが、それぞれのリーグでの優勝チームが対決するのが日本シリーズであり、「どこが結局一番強いんだ?最強チームが見たい!」というファンの欲求を果たすのには十分だ。

何より全部で7戦を行うという、短期決戦でありながら長期戦の要素も盛り込まれているシステムが絶妙であり、今年の日本シリーズも約10日に渡って日本中の話題をかっさらった。

 

1試合だけではなかなか強さが決められない野球においてこの仕組みは非常に秀逸で、半世紀以上も継続して続けられてきただけのことはあるなと毎回思わされる。

 

しかしこれは野球だからこそ、2リーグ制だからこそ許されるシステムであり、競技が変わっても同じように使える仕組みではない。

 

現行のJリーグのシステムは最も平等で公平な方式。

 

そもそも、全てのスポーツである程度共通して使える仕組みはリーグ戦であり、陸上競技や水泳など同時に複数人がプレイできるスポーツ以外はリーグ戦でチャンピオンを決めて行くのが最も公平なシステムだ。

リーグ戦を行えない時間的な理由等がある場合にはトーナメントが用いられるが、トーナメント方式には順位を決めるという点でいくつかの問題がある。

例えば準優勝チームは、優勝チームが1回戦で破ったチームより本当に強いのか?という問題である。例え実力のあるチームでも、組み合わせ次第では優勝チームと初戦で当たる場合もある。優勝チームだけを決めるのであればトーナメント方式でもいいのだが、2位3位を決めて行く必要がある場合にはやや不公平感は残る。

もちろんそれがダークホースやジャイアントキリングを起こす要因でもあり、スポーツの醍醐味を感じさせてもらえる方式ではあるのだが、やはり公平に順位を決めるのであればリーグ戦が一番だ。

 

そのリーグ戦も、場所や日程次第では不公平な部分が出てしまう。

そこでホーム&アウェイ方式や、カレンダーの調整などの部分修正などという方法が出てきたわけだが、ここまですればほとんど欠点は出てこない。つまり、現行のJリーグは、正真正銘の順位決定戦であり、文句の付けどころのない大変優秀なシステムである。

 

お金。

 

本来はそれでなんの問題もないのだが、Jリーグもボランティア活動ではない。お金の問題もあるし、これから規模を拡大して行くという理念もある。

頭打ちになりつつあるJリーグは、近年何らかの改善が求められ続けていたのだ。

 

そこで浮上したのが「2ステージ」「ポストシーズン」「チャンピオンシップ」というアイデア。

それぞれについての詳しい詳細や問題点は他の媒体でいくらでも読めるので、ここでは敢えて触れない。

 

が、日本シリーズを見ていて感じたのは、このシステムが前述の通り「盛り上がるのかどうか」という不安である。
サッカーマガジン増刊 2012J1リーグ サンフレッチェ広島優勝記念号 2013年 1/1号 [雑誌]
客は馬鹿のようで馬鹿ではない。

ただサッカーが見たいだけではなく、その後ろに潜む背景や思惑を愉しみたいのがファンだ。

プレシーズンマッチよりもリーグ戦の方がスタジアムが埋まることが証明しているように、その試合に行く価値があるかどうか?というのは大事な判断基準であって、だからこそ大一番ではいつも以上のお客さんが詰めかけてくる。

 

「ここで勝てば優勝」「負けると降格に近づく」「因縁の一戦」「前回の雪辱」

そんな背景があるからこそ、見る方もやる方も熱が入るのであり、背景がなくなってしまえば河川敷の草サッカーと大差はなくなってしまう。スポーツが盛り上がるためにはこういった要素は不可欠であり、最も重要な部分ではないだろうか。

 

だが、そんな要素を人工的に無理矢理作り出して、果たして面白いものが創れるのだろうか?

客は馬鹿ではない(2回目)。無理があると感じる「○○ダービー」があまり普及しないのと同じように、Jリーグが導入しようとする新システムに無理があるのにも気づくだろう。

もちろんサポーターは優勝するクラブが見たいからスタジアムに足を運ぶし、それなりに勝てば喜ぶと思う。

負ければ悔しいだろうし、選手ももちろん頑張るはずだ。マスコミも大きく取り上げるだろうし、露出も増える。Jリーグが言うように収入は増えるだろう。

けれど、そんな作り物のエンターテイメントは、日本シリーズを超えられるのだろうか?優勝の価値が現行のリーグ戦よりも安っぽいものになってしまわないだろうか。

 

 

世界、もしくは統一王座

 

サッカーは世界に通じているスポーツだ。

プロスポーツは野球や相撲など国内戦が主であり、世界はアマチュアスポーツの祭典であるオリンピックとしか通じていない。そういう環境だったからこそ、世界に向かっていくサッカーはウケた。それは日本だけでなく海外でも同じだ。

オリンピックの加盟国数より、FIFA国際サッカー連盟の加盟国(地域)が上回っているのが証明している通り、世界で最も普及しているスポーツであるサッカー。その強みをもっと活かして行く必要があるのではと考える。

 

ACLがある。ACLを制覇すればクラブワールドカップもある。

日本人が最も好きなのは「世界と戦う日本」であるのだから、この舞台をもっと充実させて行くことがJ人気に繋がるのではないかと考える。(この件についての詳細はまた次回)

 

また、どうしてもチャンピオンシップ的なのがやりたいのであれば、ナビスコカップと天皇杯とリーグ戦での統一タイトルマッチを設け、力を入れて行くべきだ。

リーグ戦はもちろん、ナビスコはグループ×トーナメント、天皇杯はアマチュアクラブ全てが参加できるというメリットがある。

その3大会の統一王者を決めることが、チャンピオンシップ的なものが一番しっくりくるやり方だと強く思う。

 

 

せっかくリーグをやってるのにそれを前期と後期半分にわけ、2位でも優勝できるようにしたり、年間で一番勝ったチームがタイトルを獲得できないというのはかなり微妙な話だろう。

 

 

 

実際、Jリーグの人達が一番わかってることなのだと感じる。そんなことわかってるけど、経営とか色々やべえんだよ!だからチャンピオンシップやんだよ!って話なのはお察しする。

このままではダメなのはわかるし、このままで良いわけもない。何か改革案を打つことには、基本的にどのサポーターも賛成なのだ。

 

だからこそ、もう少し頭を使って違うやり方を考えて欲しい。

 

 

偽物の優勝決定戦から、日本シリーズのような感動が得られるとはちょっと思えない。

 

 

楽天の優勝を祝福するとともに、改めて考えさせられる機会を与えてくれたことに感謝したい。

 

記事・湯取俊二


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Comment

  1. 匿名 より:

    クシリの導入以降、日本シリーズが真の日本一決定戦ではなくなった。
    今年はたまたま、セパ双方の優勝チームだっただけ。
    3戦勝たなくても、1試合で勝負したほうが真剣勝負。
    わざと7試合までもつれて、儲かるのはチーム。
    白けて観ている人が多いのが現実だ。

  2. 匿名 より:

    いや、白けて観なくなった人が多くなったのが現実だ。
    視聴率は、仙台はともかく関東では30パーセントに届かなかった。
    全国ではもっと低いだろう。
    そもそも東北のチームが優勝すること自体、復興にひっかけた「興行」であろう。
    もしあの震災が西日本で起きていれば、今年の日本一は広島カープだったであろう。
    そこに気付かない人が、今も野球を観ているのだ。
    これ以上の「興行」は当面なさそうであり(ないと願いたいものだが)、来年以降の野球人気が
    危ういことに変わりはないのである。

    • 匿名 より:

      こいつ、もしベガルタが優勝したら同じように「復興にひっかけた興行」と言うんだろうな。

  3. 匿名 より:

    >そんな作り物のエンターテイメントは
    というかエンターテイメントって作り物だろ。
    それを理解せず一部のサッカー好きの奴らの中でシコシコやってきたのが今のJリーグの現状
    一般人の興味関心を引くには話題になって目立つようなことをやらなきゃね。

    >だからこそ、もう少し頭を使って違うやり方を考えて欲しい。
    結局サッカーファンという生き物はあれやれこれやれとクラブやJリーグに偉そうな要求ばかりするが、具体的な案は何にも持って無いということがこの一文からもよくわかるね。

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