フランス革命とルイ16世に見る日本代表

公開日: : 最終更新日:2013/10/24 日本代表 , , , , ,


アルベルト・ザッケローニ日本代表監督が、アジアカップ優勝・W杯予選一位突破・東アジア杯優勝という実績を積み重ねながら、いくつかの試合で看過できない低調な内容の敗戦を喫していることについて、各メディアでは彼を監督に据えて来年のW杯本大会を戦うべきや否や、という喧々諤々の議論がさかんに行われている。

 

私個人としては、たまたま日本人が国内企業のスポンサー契約等の付帯条項一切なしで純粋に実力で評価されるようになり、代表スタメンの半数以上を欧州組が占めるようなタレントに恵まれた時代に就任したとはいえ、ブラジル・イタリア・メキシコという列強を相手に能動的にボールを支配し、または奪いに行き、勝ちに行ったコンフェデレーションズ杯は、三戦全敗という見事な返り討ちにあったとはいえ日本サッカーがまた一歩先に進んだ足跡にはなったと思う。アポロ11号の乗組員ではないが、「これは世界のサッカーにとっては単なる一歩だが日本サッカーにとっては大きな飛躍だ」とでも言ったところか。

 

 

「近代フランスが誕生するためには(中略)古代の人間社会で行われていたごとく、生贄を捧げての聖なる祭典が必要だった。すべての王の中で最も倫理的で、人間的欠陥が少なかったルイ16世が殺され、次にその妻と息子が標的とされ、その種族が犯したとされる前近代的な残忍性を持って償わせようとした理由はそこにある」

 

これはルイ16世(ガリマール新評伝シリーズ 世界の傑物 3) (ガリマール新評伝シリーズ―世界の傑物)という書物で、解説者が抜粋した一文であるが、ルイ16世はマリー・アントワネット王妃にとって男性的魅力が欠けていたし内向的性格でもあった。先代の王が進めた改革のいくつかを逆行させて、革命熱をあおってしまったという自業自得的なところもある。だが、本書で説明されている通り彼は我が国の安全保障を共有するアメリカ合衆国の独立を助けたことがある。その際に派遣された軍人ラファイエットは、アメリカで最も尊敬されているフランス人だ。他にも減税に努め、できるだけ増税せずに軍備拡大を成し遂げた辣腕や、革命を支える啓蒙思想・科学的合理主義の勉強にも熱心だったことが本書を含む数多くの研究によって明らかにされてきた。
LouisXVIExecutionBig

では、なぜ彼は「革命の障害」として悪のレッテルを貼られ処刑されるのか。

それが知りたければ、上記の抜粋部分をもう一度お読みいただけるといいだろう。

 

革命は、旧体制を一新してすべてを作りかえる。それで悪化している状況がすべて上手くいくと、とにかく信じるしかないだろう。個人だったら、正社員労働に行き詰まりを感じて思い切って脱サラ・やりたいことをやる。ハイリスクだ。また組織においては、業績芳しくないというので課長・社長の首をすげ替えて体質一新。人間そんなに都合よく2,3日で一新できるわけがないけれども、たとえば個人や組織でなく「國」という、これまたとんでもなくスケールの大きなものが老廃し行き詰ってる時、人々の気持ちを一新させてまたやる気を引き出したい。国を元気にしたい。明るい方向に向かってると信じたい。どうすればいいか。

ここで、「國」を「ナショナルチーム」に、「首相」を「代表監督」にそれぞれ置き換えて考えてみる。

 

断頭台に引っ立てていって、クビを落とす。

 

そういうわかりやすい「王者交代儀式」は、不特定多数の大衆を熱狂させる。日常の鬱屈を爆発させる。少なくとも数日間は元気にさせる。その調子で、上手く経済や流通・食糧生産が回転してくれれば本当に国はよくなるだろう。

実際のところ、ルイ16世は結論から言えば「革命は正しかった」というストーリーの強化の一環として殺されたという話なわけだが、さて当時のフランスの王朝社会とおんなじで、我々サッカーを愛するファン一人一人には代表監督の選挙やら信任投票をする参政権なぞないのが現状であって、少数有識者会議で選ばれた「王」をどうすればいいのだろう。

 

彼が積み立ててきた一つ一つの実績も財産も、前任者のW杯ベスト16の成績を下回った時点で万死に値するほど無価値なゴミクズになってしまうというわけで、これがベスト16を超えると同国史上最大の英雄と、こういうことになる。

話は選手に移るが、過去多くの日本代表選手たちが「キング」などの称号で呼ばれてその時代の日本代表を、プレーだけでなく日常生活や交友関係も含めサッカー界を象徴する重要人物として注視され、時代をリードしてきた。三浦知良、中田英寿、中村俊輔。彼らの「末期」における国民からの罵声はすさまじいものがあった。それをやると国が良くなる、古いものを叩いて壊すと国が新しくなって良くなる、という象徴的リンチ行為である。そういうわけで、現在カリスマと呼ばれる本田圭佑選手も、

いずれはルイ16世のように、国に尽してきた実績も貢献も一瞬で忘れ去られて「象徴的抹殺」を受ける日が必ずややってきてしまうのだろう。

 

国民慰撫の名のもと首を切られるのが名監督でも名選手でも、私にはそれが読めるし、それが具体的に何年何月に起こるマスコミ主催「王者交代式」になるのやら、予想するほどヤボでもないし、暇人でもなかったりする。

 


ルイ16世(ガリマール新評伝シリーズ 世界の傑物 3) (ガリマール新評伝シリーズ―世界の傑物)

KMPR

静岡県焼津市生まれ。J開幕時よりサッカー観戦・応援に没頭し、様々な遍歴を経て上京進学後に

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